辞めた人を責めていませんか?
離職届の後に残る「静かな怒り」
医療・介護・福祉の現場において、スタッフの離職は日常茶飯事かもしれません。しかし、その一通の離職届が受理された後、組織の中にどのような「空気」が流れているでしょうか。
「あんなに目をかけてやったのに、恩知らずだ」 「結局、根性がなかったんだ」 「今の若い人は、すぐに嫌なことから逃げる」
もし、経営層や現場のリーダーからこうした「辞めた人を責める言葉」が漏れているとしたら、その組織の崩壊はすでに始まっています。辞めていった人を「裏切り者」や「能力不足」として片付けてしまうことは、組織にとって最も安易で、かつ最も危険な逃避だからです。
責めることで「見えなくなる」もの
なぜ、私たちは辞めていく人を責めてしまうのでしょうか。 それは、彼らを責めることで「自分たちの組織に問題があった」という事実から目を逸らすことができるからです。
「彼が弱かったから辞めたんだ」というロジックに逃げ込めば、組織の古いOSや、不透明な評価制度、現場の疲弊といった根本的な課題に向き合わずに済みます。しかし、この「他責」の姿勢こそが、残されたスタッフの心を最も冷え込ませます。
「次は自分が責められる番かもしれない」 「この組織は、去る者に対してこれほど冷酷なのか」
残った優秀なスタッフほど、上層部が去っていった仲間をどう評価するかを冷徹に見ています。辞めた人を責める文化は、現職スタッフのエンゲージメントを確実に、そして急速に削り取っていくのです。
離職は「組織の健康診断」である
私たちは理学療法士として、これまで多くの現場の「痛み」に触れてきました。 離職とは、組織という身体が発している「痛み」のサインに他なりません。痛みの原因を「患部(辞めた人)が悪い」と切り捨てるだけでは、病根は治りません。
辞めていった人が、最後に残した言葉。あるいは、言葉にすらならなかった沈黙。 そこには、組織が次の一歩を踏み出すための「改善のヒント」が詰まっています。
- なぜ、彼らはここで働き続ける未来を描けなかったのか?
- どの瞬間に、彼らの「想い」は途切れてしまったのか?
- 組織が掲げる理想と、彼らが直面した現実の間に、どんな溝があったのか?
これらの問いに真摯に向き合うことは、苦痛を伴います。自分たちの非を認めることになるからです。しかし、その苦痛を受け入れた組織だけが、二度と同じ理由で大切な仲間を失わない「強い組織」へとアップデートできるのです。
卒業を祝える組織、選ばれる組織へ
私たちが提案する「視える化」のゴールは、単に人を集めることではありません。 「たとえ離職という形になっても、ここで働いた経験がその人の財産になり、組織としても感謝して送り出せる」 そんな関係性を築ける組織文化をデザインすることです。
「ここで働けてよかった」と言って去る人が増えれば、その評判は必ず外部に伝わります。逆に、辞めた人を後ろ指さす組織の噂も、瞬く間に業界内に広がります。
辞めた人を責めるのをやめ、その背景にある「構造」を直視すること。 それこそが、採用コストを下げ、離職率を改善し、真に「想いのある人」に選ばれ続けるための、唯一の誠実な道です。
あなたの組織では、最後に去っていった仲間に、どんな言葉をかけましたか?
株式会社視える化は、理学療法士2名で立ち上げた、医療・介護・福祉業界に特化したブランディング支援を行っています。 これまで1000人以上の声を現場で聴いてきた中で見えてきたのは、「思ってたんと違う」という言葉の裏にある構造的課題です。 理学療法士をはじめとする医療従事者の離職背景には、採用のミスマッチや、理念やビジョンが十分に伝わらないままの入職があります。結果として、人材不足や離職率の上昇、膨らみ続ける採用コストという悪循環が起きています。 私たちは、企業のリアルを可視化し、現場のリアルを丁寧に言語化することで、理念や価値観の一致を生む採用広報戦略を設計します。 「想いを視えるカタチに」することこそが、医療・介護・福祉業界における持続可能な組織づくりの第一歩だと考えています。