“想いがある人から辞めていく”医療業界の矛盾
― なぜ熱量の高い人ほど、現場を離れてしまうのか
「あの人、辞めちゃったんですね」
現場にいると、
何度も耳にする言葉があります。
「あの人、すごく熱心だったのに」
「患者さん想いだったのに」
「勉強もしてたし、信頼も厚かったのに」
そういう人ほど、
ある日突然、現場を離れていく。
この光景に、
違和感を覚えたことがある人は
少なくないはずです。
辞めていくのは「やる気のない人」ではない
一般的には、
こう説明されがちです。
- 若いから
- 根性がないから
- 続ける覚悟が足りなかったから
でも、現場で起きているのは
その逆です。
辞めていくのは、
想いがあり、考え、悩んでいた人でした。
理想と現実のギャップが、少しずつ削っていく
想いのある人ほど、
現場に期待します。
- 患者さんのためにもっとできるはず
- より良い関わり方があるはず
- この仕事には意味があるはず
でも現実は、
- 制度の壁
- 時間の制約
- 評価されない取り組み
そうした「現実」が、
日常の中で少しずつ積み重なっていく。
一気に折れるわけではありません。
少しずつ、削られていく。
声を上げるほど、苦しくなる構造
想いのある人ほど、
違和感を言葉にします。
「これ、おかしくないですか」
「もっと良いやり方があると思うんです」
でも、その声が届かないとき、
返ってくるのはこんな反応です。
- うちはそういうやり方だから
- それは理想論だよ
- まずは今のやり方を覚えて
否定されているのは、
意見だけではありません。
その人の“価値観そのもの”が、
否定されたように感じてしまう。
残るのは、順応できる人
結果として、
現場に残りやすいのは、
- 違和感を飲み込める人
- 「そういうものだ」と割り切れる人
- 深く考えすぎない人
これは、
誰かが悪いわけではありません。
ただ、
想いを持ち続ける人ほど、
適応コストが高くなる構造がある。
「向いていない」のではなく、「合っていない」
多くの人が、
辞めるときにこう思います。
「自分は向いていなかったのかもしれない」
「もっと強くなれなかった」
でも、それは違います。
向いていないのではなく、
その現場と合っていなかっただけ。
価値観や判断基準が、
事前に見えていなかった。
それだけのことです。
嘆きの正体は、ミスマッチだった
想いのある人が辞めていくのは、
個人の問題ではありません。
- 想いが共有されない
- 判断基準が見えない
- 何を大切にしている現場なのか分からない
この状態で入職すれば、
どれだけ熱量があっても、
いずれズレが生まれます。
嘆きの正体は、
構造的なミスマッチでした。
だから「視える化」が必要になる
私たちが考える「視える化」は、
良い職場をアピールするためのものではありません。
- どんな考え方の現場なのか
- 何を優先し、何を諦めているのか
- 誰にとって居心地の良い場所なのか
それを事前に伝えること。
そうすれば、
想いのある人は
「合う現場」を選べるようになります。
想いが、続く場所をつくるために
想いのある人から辞めていく現場は、
誰にとっても不幸です。
だからこそ、
採用は「集める」ものではなく、
選び合うものであるべきだと考えています。
想いが削られない場所を、
最初から選べるようにする。
それが、
この矛盾を減らすための
一つの答えだと思っています。
株式会社視える化は、理学療法士2名で立ち上げた、医療・介護・福祉業界に特化したブランディング支援を行っています。 これまで1000人以上の声を現場で聴いてきた中で見えてきたのは、「思ってたんと違う」という言葉の裏にある構造的課題です。 理学療法士をはじめとする医療従事者の離職背景には、採用のミスマッチや、理念やビジョンが十分に伝わらないままの入職があります。結果として、人材不足や離職率の上昇、膨らみ続ける採用コストという悪循環が起きています。 私たちは、企業のリアルを可視化し、現場のリアルを丁寧に言語化することで、理念や価値観の一致を生む採用広報戦略を設計します。 「想いを視えるカタチに」することこそが、医療・介護・福祉業界における持続可能な組織づくりの第一歩だと考えています。